迅速なフェイスシールド製造のための3Dモデリング技術

スウェーデンにあるサンドビック・コロマントの工場施設は、通常は複雑な特殊コンポーネント向け金属粉の製造に使われています。しかし現在は、施設の金属加工知識と3Dプリンティング能力は、いくつかのプラスチック3Dプリンタとともに、医療関係者向け個人保護具 (PPE) の製造のために再編成されています。

事業者のなかには、すでに3Dプリンティングによるフェイスシールドの提供を行っているところもあります。しかしながら3Dプリンタには一般に一度に一つのCADファイルしかプリントできないという制限があるため、製造速度は遅くなってしまいます。この問題を解決するためにサンドビック・コロマントのプレス機器部門エンジニアは、機械が複数の積み重ねられたフェイスシールドを一つのCADファイルとして認識することを可能にする、新しいモデリングプロセスを開発しました。

サンドビック・コロマントのエンジニアは、一つのフェイスシールドの3D画像データを複製することで、フェイスシールドを多層に積み重ねることを可能にしています。デュアル押出し機を使用して、3Dプリンタは各マスクの間にサポート構造を生成することができます、その基礎となるのは、各マスクの間の薄いプラスチックのストリングです。このサポートを水溶性の材料中でプリントすることで、プリント後のフェイスシールドの分離が容易になります。

現在サンドビック・コロマントのプレス機器部門は、1台の3Dプリンタあたり各ロットごとに42個のプラスチック製フェイスシールドを製造することができます、たった一つのフェイスシールドを製造するのに、従来は48時間が必要でした。同じ技術をより大型の3Dプリンタで使用すれば、1回の生産ロットで最大200個のフェイスシールドを製造できます。

サンドビック・コロマントは、この技術が他の事業者に採用され、フェイスシールド製造の最も効率的な方法として3Dプリンタが活用されることを願っています。実際にサンドビック・コロマントは、既にストラタシス (Stratasys) 社の北欧におけるリーディングサプライヤであるプロテク (Protech) 社とこの3Dモデルデータを共有しています。あるホビーユーザー向け3Dプリンタ販売代理店もまた、そのネットワークでこのデータを共有しています。

サンドビック・コロマントプレス機器部門の生産エンジニアであるクリスチャン・ディグフォーは、「3Dプリンタを使用して大量のフェイスシールドを提供するには、いくつかのパーツを同時にプリントするのが理想的な方法です。COVID 19と闘う医療関係者へのサポート活動は現在進行中であり、私たちは個人保護具 (PPE) の生産にできるだけ効率的な方法で寄与しなければなりません。そのためにサンドビック・コロマントは、この技術と必要な画像データをできるだけ多くの事業者と共有したいと考えているのです。3Dプリンティングが可能なすべての施設が参加してくれることを望んでいます。」と説明しています。

またデゥグフォーは、「3Dプリンタをお持ちの事業者の皆様には、私たちにこのプリンティング技術の展開についてのガイダンスの要請をご連絡くださるようお願いします。小規模事業者の皆様やホビーユーザーの皆様も含め、この欠くことのできない活動に協力したいとお考えのどなたであろうと、3D画像データの共有していただけることはとてもうれしいことです。」とも話しています。

いくつかのサンドビック・コロマントの部署では、3,000以上のオーバーヘッドプロジェクター用画像を入手し、3Dプリンティング能力をフェイスシールドの製造のために活用しています。たとえばサンドビック・コロマントプレス機器部門は、すべての重要ではない生産活動のために3Dプリンタを使用することを停止しており、現在プリンティング能力の75%はフェイスシールドの供給のために使用されています。

これらのフェイスシールドは、スウェーデンのサンドビケン-イェブレ、イェヴレボリ、ストックホルム地域の病院に寄贈される予定ですが、サンドビック・コロマントは、この活動は社内だけではなくビジネス界にグローバルに広がっていくものと予想しています。

また米国では、サンドビック・コロマントのカリフォルニア地区エンジニアのウォーレイ・キャライェグは、妻が勤務している近所の病院で医療関係者がサージカルマスクのことで大変な苦労をしているのを知り、あるアイデアを思いつきました。3Dプリンタとオープンソースファイルを用意した彼は、イヤーサーバーストラップとしても知られているサージカルマスクのエクステンションストラップのプリンティングを始めました。間もなく彼は、それらのストラップをCOVID 19と最前線で闘う人たちを助けるために病院へ届け、他の人にもこの活動に参加するように勧めました。

サンドビック・コロマントのアディティブマニュファクチャリング部門研究技術者のアンドレ・ラーションは、「従業員の安全ということについて、サンドビックには妥協はありません。今私たちは、安全を維持することで医療関係者を助け、彼らがCOVID 19感染者を助けられるようにすることができるのです。私たちの命は医療関係者にかかっているのです。そして、彼らが命を救ってくれているのですから、その人たちの安全について妥協することはできません。」と話しています。

サンドビック・コロマントのCOVID 19との闘いへの支援についての詳細は、ウェブサイトwww.sandvik.coromant.comでご覧いただけます。3Dモデリング技術のガイダンスについては、サンドビック・コロマント生産エンジニアのクリスチャン・ディグフォーchristian.dingfors@sandvik.comにお問い合わせください。

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