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未来の工場

5/23/201910 min readTechnology and Digitalization

スウェーデンにあるサンドビック・コロマントのジモ工具生産工場が、世界経済フォーラムから最先端のインダストリー4.0 施設として認定された。

ストックホルム北部のジモにあるサンドビック・コロマントの工具生産工場は、デジタルコネクティッド製造の多くの利点を完全に取り入れ、高度な自動化が進んだ施設だ。この取り組みが、先日、世界経済フォーラムによって認められ、ジモ工場は世界の「ライトハウス」施設の1つとして発表された。「ライトハウス」はそれぞれ、デジタル技術の採用と具体的なメリットの実証の成功度に基づき、1,000を超える生産ユニットを対象に実施した調査から選定された。

世界経済フォーラムによると、ジモ工場では生産プロセスを通じてデジタルスレッドを作成することで、生産性の大幅な向上を達成した。その一例が、無人運転中であっても設計パターンを自動的に変更できる「タッチレス・チェンジオーバー」だ。このようなクラス最高の先進技術は、ジモ工場がこれからグローバルなライトハウスネットワークの一員として、自身の扉を開き、他の製造業界と知識を共有することを示している。

この受賞は、特に、長年にわたるイノベーション推進の取り組みの集大成として評価されたため、ジモでは真の誇りを持って受け止められたと、サンドビック・コロマントで生産技術ツール部門のリーダーを務めるラース・マティアションは言う。 「ここジモ工場におけるデジタル化への道のりは、実際には30年前のパラメトリックCAD/CAMの実装から始まりました。数年後には当社のスマートオートメーションと接続し、それによって、ここでの生産における最初のデジタルスレッドを作成しました。これは革命というよりも、非常に大きな進化でした。

現在、在庫管理から、機械のパフォーマンスおよび予知保全まで、工場全体にデジタルスレッドが行き届いています。そのイノベーションの精神とは、常にトップダウンの関与です。 ジモ工場のディレクターとマネージャーは、違った考え方を持ち、変化を起こせるように、エンジニアに絶えず働きかけてきました。最終的には、工場の効率向上と競争力強化のためにテクノロジーをどのように活用できるか検討することとなり、それが今度は、持続可能な未来を実現する手助けとなりました。」

その代表例が、タッチレス・チェンジオーバーだ。従来は、生産セルの設計パターンは手動で変更しなければならず、昼シフトのオペレータが夜間運転のための機械の準備を行った。これには時間とリソースがかかり、無人シフトの間の柔軟性も制限されていた。代替アプローチでは、きわめて柔軟性の高いロボット、機械、工具および治具を備えたスマートオートメーションへの投資を行うことにより、人間による監視不要で、複雑なタッチレス・チェンジオーバーの実現が可能となった。

「1分での金型交換など、リーン生産技術について話す者もいますが、私たちはそれ以上のことを望んでいました。従業員によるセットアップをなくしたかったのです。」と、マティアションは言う。

「それは学習曲線のように進みました。最初の自動化されたセルは期待通りには機能せず、実際、1人のオペレータを1台のマシンに配置するよりも効率的ではありませんでした。しかし、それがデジタル化というもので、学ぶためには失敗できることが必要です。私たちは徐々に大きな改善を成し遂げ、ロボットセルは私たちが求める形の効率に到達し始めました。試行錯誤は、物事が良くなる過程の重要な部分なのです。」

デジタル技術は、メンテナンスなど、ジモ工場の他の分野で改善をもたらすためにも使用されている。工場内の幅広い機器には次々とセンサが取り付けられ、圧力、温度、振動および音響など、増え続けるパラメータリストに関するデータを収集している。このデータを高度な分析と組み合わせることで、ダウンタイムが発生する前にパターンと問題を明らかにできる。

エンジニアは、生産施設全体、すなわちロボット、CNC機械や切削工具自体からもデータを収集する。このデータを抽出・分析することで、機器の健全性に関する貴重な洞察が得られる。その情報は、さらに、故障の予測・防止や工場の効率向上のために使用することが可能だ。

サンドビック・コロマントでは、実稼働環境にもリアルタイム分析を次々と適用しており、これによって、さらに正確かつタイムリーな機械調整が可能となる。 「その次の段階では、人工知能や機械学習など、機械が過去のデータから学び、自己制御の要素を持つことができるような、非常に高度な技術が導入されるでしょう。これは本当に刺激的な分野です。」

このような著しい技術的進歩や、世界経済フォーラムによる「ライトハウス」としての認証があっても、ジモ工場のデジタル化への「旅」の歩みが止まることはない。

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